企業が事業活動の中で排出される産業廃棄物は、どのように処理・処分されるのでしょうか。
ここでは産業廃棄物がどのように処理・処分される流れを段階ごとに説明しています。
基本的に産業廃棄物の処理・処分は、廃棄物の収集・運搬からはじまり、中間処理、最終処分という流れによって処理・処分されています。
企業が事業活動の中で排出する産業廃棄物は、まずトラックなどにより収集されます。
収集された産業廃棄物は、処理・処分を行うために中間処理施設・最終処分場へ運搬されます。
産業廃棄物を排出する企業は、産業廃棄物を自ら収集・運搬を行うか、もしくは産業廃棄物収集運搬の許認可を取得している業者へ委託し収集し、中間処理施設及び最終処分施設へ運搬を行うように義務化されています。
また収集・運搬を外部委託する際、収集運搬業者が、収集場所と運搬先を管轄しているそれぞれの都道府県から許可を取得しておく必要があります。
排出事業所もしくは委託業者により運搬された産業廃棄物は、そのまま処分を行うことはできません。
処分を行う前に、分別、減量、焼却、無毒化など中間処理を行い最終処分場へ運搬されます。
また中間処理施設では、焼却や溶融などの減量化、破砕を行い容積の縮小化、脱水など水分を取り除き廃棄物としての本来の質量に戻す、リサイクルできる廃棄物を選別し、廃棄物の全体を減少させています。
これら中間処理施設での処理過程を行うことで、環境へ優しい廃棄物として最終処分業へ運搬しています。
企業などの事業活動で排出された産業廃棄物をそのままの形で、最終処分をしてしまうと不法投棄と同じことになってしまいます。
そうなると、環境保全どころか地球全体がゴミで埋め尽くされてしまいます。
そうなってしまわないためにも、中間処理施設で廃棄物をできる限り砕き小さくすることや、焼却や脱水をして廃棄物を減少させる、再利用ができる廃棄物をリサイクルするなどの処理を行い、できるだけ廃棄物を減量させ処分するために中間処理施設は必要です。
中間処理施設で、減量、焼却、無毒化された産業廃棄物は、埋め立てや海洋投棄といった方法で最終的に処分されます。
しかし最終処分できる場所は無限ではないため、事業者は排出する段階でできる限り産業廃棄物を削減するために努力をする必要があります。
産業廃棄物を削減することで、環境への負荷を減らすことへ繋がっていきます。
最終処分場は、産業廃棄物の種類によって、安定型最終処分場、遮断型最終処分場、管理型最終処分場の3つの種類があります。
これら3つの種類の産業廃棄物最終処分場は、廃棄物処理法によって処分できる産業廃棄物、処分場の構造基準、維持管理方法が定められています。
安定型最終処分場は、有害物質・有機物の付着がなく、雨水などによって変化を起こさない安定産業廃棄物の埋め立て処分を行っています。
安定型最終処分場の管理基準は、安定型産業廃棄物以外の廃棄物を搬入されないために、運搬されてきた廃棄物の展開検査及び、浸透水の水質分析が義務付けされています。
遮断型最終処分場は、安定型最終処分場と異なり有害物質を含んだ廃棄物が搬入されるため、処分場内部への雨水の侵入防止のため屋根や雨水排除設備が設置や、鉄筋コンクリートなど水密性のある構造となっています。
また有害性物質を埋め立てしているので、長期間の維持管理が義務化されています。
管理型最終処分場は、遮断型最終処分場で処分をできる廃棄物以外の埋め立て処分をしています。
そのため管理型最終処分場は、さまざまな産業廃棄物が処分されています。管理型最終処分場では、動植物性残さや、ふん尿、死体による腐食や分解、金属の溶出など汚濁物質を含む保有水や、ガスが発生します。
処分場で発生する浸出水の流出を防止する遮水工や保集配管などを施し、地下水汚染予防を行っています。
産業廃棄物は、その種類や処理方法はさまざまあります。産業廃棄物の排出業者は、排出する廃棄物の種類を理解し、その産業廃棄物に適した処理や処分を行わなければなりません。
また、ほとんどの排出業者は、外部の専門業者へ委託しています。しかし排出業者は、収集・運搬から最終処分まで確認する管理責任があります。
委託している業者が違反行為をしたとしても、排出業者が責任を問われる可能性もあります。
産業廃棄物処理を外部の専門業者へ委託する際、廃棄物に関する許認可を取得しているが、過去に違反をしていないかを確認した上で、委託契約を結ぶことが重要です。