産業廃棄物の中には、爆発性、毒性、感染性そのほか人の健康や生活環境への被害を生ずる可能性のある廃棄物が含まれています。
これら危険性の有る産業廃棄物は、廃棄物法で特別管理専業廃棄物に分類されています。
ここでは特別管理産業廃棄物を含めた産業廃棄物の取り扱いをするために必要な資格についてまとめて紹介しています。
危険性の有する特別管理産業廃棄物を含めた産業廃棄物を取り扱うためには、排出業者は特別管理産業廃棄物管理責任者や廃棄物処理施設技術管理者を設置する必要があります。
特別管理産業廃棄物は、pH12.5以下の廃酸や、pH12.5以上の廃アルカリ、医療機関などから排出された、感染性病原を含む、もしくは含まれている可能性のある感染性産業廃棄物、そのほか特別有害産業廃棄物に該当する、廃PCB(ポリ塩化ビフェニル)、特定の施設から生じる廃水銀などが含まれます。
事業活動により特別管理産業廃棄物を排出した際に、排出業者は特別管理産業廃棄物の処理を適正に行うため、事業場単位に特別管理産業廃棄物管理責任者を取得している管理者を選任することが義務化されています。
特別管理産業廃棄物管理責任者は、廃棄物法に基づき特別管理産業廃棄物の全般を管理し、特別管理産業廃棄物は適正に処理・処分を行うために、特別管理産業廃棄物の排出量などを把握し、特別管理産業廃棄物処理計画書を作成し、保管状況、委託業者の選定及び適正な委託、マニフェストの交付及び保管を行います。
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格取得の条件は、排出される廃棄物により異なっています。
医師や歯科医師、薬剤師、看護師または、2年以上の環境衛生指導員の実務経験者、もしくは大学、高等専門学校で医学、薬学など課程を修めた卒業者
2年以上の環境衛生指導員の実務経験者または、大学の理学、薬学、工学、農学の過程で衛生工学・化学工学の課程を修了し卒業後に2年以上廃棄物処理の実務経験者
特別管理産業廃棄物管理責任者資格の取得費用
特別管理産業廃棄物管理責任者資格の取得条件を満たしている者は、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが主催する講習の受講および試験に合格する必要があります。
廃棄物の関連法規、感染に関する基礎的な知識、廃棄物処理と管理、終了試験が1日の講習で実施されています。
行政概論、特別管理産業引き物の処理及び管理、修了試験が1日講習で実施されています。
郵送申し込の場合 | 14,300円(税込み) |
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Web申し込みの場合 | 13,800円(税込み) |
国家資格の廃棄物処理施設技術管理者は、廃棄物処理法21条で一般廃棄物処理施設、産業廃棄物処理施設に設置することを義務化されています。
廃棄物処理施技術管理者は、廃棄物施設を維持管理基準に係る違反をしないように、廃棄物処理施設を維持管理する業務及び職員の管理を行います。具体的な業務としては次に上げる業務です。
国家資格の産業廃棄物処理施設技術管理者の資格を取得するためには、一般財団法人日本環境衛生センターが実施する廃棄物処理施設管理技術者講習を修了する必要があります。
この講習は、基礎・管理課程講習と管理課程講習の2種類あります。
20歳以上であればだれでも受講ができます。受講コースとしては、ごみ処理施設、し尿、汚泥再生処理施設、産業廃棄物中間処理施設、産業廃棄物焼却施設、最終処分場の5コース(基礎課程6日間・管理課程4日間)と、破砕・リサイクル施設、有機性廃棄物資源化施設の2コース(基礎課程4日間・管理課程4日間)の7コースが実施されています。
ごみ処理施設、し尿、汚泥再生処理施設、産業廃棄物中間処理施設、産業廃棄物焼却施設、最終処分場の5コース | 121,000円(税込み) |
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破砕・リサイクル施設、有機性廃棄物資源化施設の2コース | 103,400円(税込み) |
管理課程講習の受講資格は、学歴に応じて実務経験が必要になります。(例:化学部門、水道部門、衛生工学部門の技術士)
環境衛生指導員2年以上、4年生大学の衛生工学などを履修した卒業者で卒業後廃棄物処理施設実務経験2年以上
ごみ処理施設、し尿・汚泥再生処理施設、破砕・リサイクル施設、有機性廃棄物資源化(バイオマス利活用関連)施設、産業廃棄物中間処理施設、産業廃棄物焼却施設、最終処分場の7コースのうち、破砕・リサイクル施設コース、有機性廃棄物資源化(バイオマス利活用関連)施設コース(4日間)それ以外で6日間の講習が実施されています。
管理課程講習 | 各66,000円(税込み) |
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特別管理廃棄物を除く産業廃棄物収集運搬業は、都道府県及び政令市から許可を受けます。
産業廃棄物収集運搬業は、廃棄物処理法で定められている収集運搬基準に基づき適切な収集運搬を行うことが義務化されています。
具体な例としては、産業廃棄物の飛散や流出、悪臭、騒音及び振動など生活環境保全に支障防止、運搬車、運搬容器、運搬パイプラインからの飛散、流出、悪臭の漏れ防止、産業廃棄物を運搬している車両であることをわかるように表示し、必要な書面を備えておくことです。
産業廃棄物収集運搬業は、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター主催の産業廃棄物収集運搬課程の講習を受講後に、都道府県、政令市から許可を取得します。
産業廃棄物収集運搬の講習会は、行政概論、業務管理、環境概論、安全衛生管理、収集、運搬、修了試験が2日間にわたり行われます。
また特別管理産業廃棄物収集運搬業においては、行政概論、業務管理、環境概論、安全衛生管理、収集、運搬、修了試験が3日間にわたり行われます。
産業廃棄物収集運搬業 | 31,000円/Web申請30,500円(いずれも税込み) |
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特別管理産業廃棄物収集運搬業 | 69,300円/Web申込68,800円(いずれも税込) |
廃棄物法第7条欠落要件及び廃棄物処理法第14条欠落要因に該当せず、講習を修了したものは、都道府県、政令市に業の許可申請を行うことができます。
新規許可申請料 | 81,000円 |
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更新許可申請積替え保管を除く | 42,000円 |
更新許可申請積替え保管を含む | 73,000円 |
変更許可申請 | 71,000円 |
新規許可 | 81,000円 |
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更新許可 | 43,000円(積替え保管を除く)、74,000円(積替え保管を含む) |
変更許可 | 72,000円 |
廃棄物処理法で指定されている爆発性、毒性、感染性そのほか人の健康や生活環境への被害を生ずる可能性のある廃棄物の最終処分を行うためには、都道府県、政令市から許可を受ける必要があります。
廃棄物法第7条欠落要件及び廃棄物処理法第14条欠落要因に該当せず、に講習を修了したものは、都道府県、政令市に業の許可申請を行うことができます。
新規許可 | 100,000円 |
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更新許可 | 95,000円 |
変更許可 | 95,000円 |
また申請の際には、事業の範囲、施設の種類・設置場所、施設の処理方式、事業の開始に関する資金総額・調達方法、資産調書、事業場の概要、取扱う特別管理廃棄物の種類、取引内容、処理後の処分方法、排出工程フロー図、誓約書などを記載された計画書と申請書の提出が必要です。
ただし都道府県、政令市によって書類が異なる場合があります。
産業廃棄物の排出業者は、特別管理産業廃棄物管理責任者や廃棄物処理施設技術管理者を設置する必要があります。
基本原則として産業廃棄物は、排出業者が自ら処理・処分をする責任があります。
ただ、産業廃棄物処理・処分を都道府県、政令市から許可を取得している業者へ委託することは認められています。
許可業者は取り扱う廃棄物の種類や業の形態により、産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処分業、特別管理産業廃棄物収集運搬業、特別管理産業廃棄物処分業があり、収集運搬基準や処理・処分基準が定められ遵守する義務があります。