産業廃棄物の排出業者は、事業活動で生じた産業廃棄物を適正の処理するまで責任を負っています。
収集運搬・中間処理・最終処分を外部の専門業者へ委託した場合であっても、産業廃棄物を引き渡すまで適正な保管をしていく責任があります。ここでは産業廃棄物の保管基準についてまとめて紹介しています。
産業廃棄物は、燃え殻、廃油、汚泥、紙くず、廃プラスチック、酸性廃液、アルカリ性廃液など20種類の廃棄物法で定められた廃棄物があります。
なかでも爆発性、毒性、感染性・人や健康や環境への影響を与える性質をもつ廃棄物は、特別管理産業廃棄物とされています。
産業廃棄物は、たとえ少量であったとしても悪臭や有害物質を発生することがあります。これにより近隣の住民や施設へ迷惑をかける恐れや、人の健康に悪影響を与えないように、適正な保管は必要不可欠です。
もし廃棄物処理法で定められている保管基準に、違反してしまうと、改善命令の対象となり、改善を行わなければ3年以下の懲役刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
産業廃棄物を保管する場合には、周囲に囲いを設ける必要があります。囲いの素材やサイズなどについての明確な定義はありませんが、産業廃棄物が周囲の生活環境に悪影響を与えないように対策を施すことが義務化させています。
例えは汚泥のように水分を含む粒子が細かい廃棄物は、コンクリート製の囲いを設ける必要があります。
そのほか産業廃棄物が容器などに入っている場合には、縄やロープを張るなど、廃棄物の種類や性質、量の適した囲いを設ける必要があります。
プレハブのような建物に産業廃棄物を保管する際は、別途囲いを設ける必要はありませんが、複数種類の廃棄物を保管する際は、種類ごとに囲いを設ける必要があります。
産業廃棄物を保管する場所には、縦60㎝×横60㎝以上の掲示板に必要事項が明記された掲示板を見やすい場所に設置しなくてはなりません。
文字の大きさや、フォント、色などしてはありませんが、遠くからでも見えるように設置することが求められています。
掲示板に記載する項目としては、産業廃棄物の保管場所である旨、保管されている廃棄物の種類、保管場所の管理者の名前または名称と電話番号、室外で容器を用いた場合には最大保管に高さの7項目です。
産業廃棄物の保管中に汚水の発生が予想されている場合、公共地域や地下水への汚染予防対策が求められています。
例えは、汚水が地下へ浸透しないように廃水溝を設置や、不浸透性材料で底面を舗装したりする必要があります。
汚水の発生が少量の場合は、産業廃棄物を容器に入れたり、防水シートをかけたり方法もあります。
容器に入れずに産業廃棄物を屋外で保管する場合には、積み上げの高さの制限があります。
囲いに産業廃棄物が接しない場合には、囲いの内側2m以内は囲いの高さの50%以下の高さで保管します。
また囲いの高さが2m以上であれば、勾配が50%以内の高さで保管します。
産業廃棄物の保管する際は、生活環境が悪い場所に発生する傾向がある、蚊やハエ、ネズミ、そのほかの害虫の発生を予防する必要があります。
これは産業廃棄物保管場所の周囲の生活環境に支障を起こさないように、産業廃棄物を適正に保管した上で、衛生状態の管理が求められています。
産業廃棄物は、一般廃棄物と違い特殊な性質がある上に、生活環境の汚染や健康被害など、思わぬ事故が発生する恐れがあります。
産業廃棄物の排出業者は、廃棄物を適正に保管しなければなりません。廃棄物法で定められた保管基準を確認して適切な保管に努めましょう。
また、産業廃棄物処理業者へ委託している排出業者も、委託業者が誤った保管や収集運搬、処理、処分を行っていないか確認することが大切です。