エコ廃棄(一都三県版):少しでも安く!出来る限りエコに! 産業廃棄物処理のイマを紹介

「製造業」における産業廃棄物処理

ISO14001の拡大に伴って、企業は環境配慮項目の1つとして廃棄物処理をどのように推進していくべきか?を考えるようになりました。

企業の廃棄物への配慮は、発生した廃棄物量を可能な限り最終処分することで廃棄物0%を達成する、いわゆるゼロエミッション(廃棄ゼロ)に向かい、それを達成したと公表する企業も現れるほどです。

このページでは、主に工場での廃棄物を対象とした内容でまとめておりますが、廃棄物量の把握・リサイクル方法などについて処理コスト削減も含めて考えてみましょう。

工場で発生する廃棄物

製造業では様々な廃棄物が発生します。排水処理汚泥や包装用のプラスチック類、発泡スチロール、廃油、鉄屑、空き缶などの産業廃棄物、また、段ボール、クラフト紙袋や納品書などの一般廃棄物も発生します。

産業廃棄物は、産業廃棄物の収集運搬や処分業の許可をもった事業者に処理を委託し、一般廃棄物は地元の自治体の収集もしくは資源化事業者、一般廃棄物の収集運搬や処分業の許可を持った事業者に処理を委託する形が基本かと思いますが、コスト面などを考慮すると2社に依頼することになってしまいますが、両方の許可をもっている業者であれば1社契約でまとめて対応することが可能となります。

事務所から発生する廃棄物

事務所から排出される廃棄物にも産業廃棄物と一般廃棄物があります。例えばPETボトルや空の弁当容器などプラスチック製および金属製の廃棄物、さらに粗大ごみの多くは法律上産業廃棄物であり、それ以外の廃棄物は一般廃棄物となります。

しかし、多くの自治体では、事務所から排出される産業廃棄物は一般廃棄物とあわせて処理しているようです。したがって、事務所から発生する廃棄物は各自治体の指導に従わなければなりません。

リサイクルによって事務所の廃棄物量を削減することも可能です。プラスチック類、紙類などはその分別を見直して処理先を再検討することにより、大幅にリサイクル率の向上に繋がります。

廃棄物計量の重要性

工場や事務所から発生する廃棄物の量を把握することは、廃棄物のリサイクル、減量を進める第一歩であり非常に重要なことです。

発生した廃棄物量の把握については、廃棄物処理業者の報告に頼っている工場が多くあります。しかし、これでは細かな品目ごと、セクションごとの量を把握できないため、セクションごとに目標を設定するなど、より個別具体的な目標設定ができません。こうした状況ではリサイクル、減量の行動を喚起することは難しいと思われます。

そのため、計量器に廃棄物を載せて(品目・セクションごとに設定された)バーコードを読んだりタッチパネルに触れるだけで、品目ごと、セクションごとの廃棄物量を簡単に集計し把握できるシステムもあります。現在このようなハイテク機器の導入も活発に行われ各企業でエコロジーに配慮した対策を推し進めています。

一般廃棄・産業廃棄で頼れる業者が知りたい!

それでも減らない産業廃棄物

平成30年度に全国で排出された廃棄物の量は、年間約4億2,155万トンにもなります。

このうち、家庭などから発生する一般廃棄物は4,272万トン、工場や事業所から出る産業廃棄物は、3億7,883万トンという膨大な量になっています。

この膨大な量の廃棄物が不適正に処理されると環境に重大な影響を与えるばかりでなく、元の環境に回復するためには多くの労力、長い時間、巨額の費用を要することになります。

業種別排出量(上位5業種で総排出量の8割以上)

電気・ガス・熱供給・水道業 9,897万トン(26.1%)
農業・林業 8,096万トン(21.4%)
建設業 7,548万トン(19.9%)
パルプ・紙・紙加工品製造業 3,253万トン(8.6%)
鉄鋼業 2,622万トン(6.9%)

産業廃棄物の処理状況

再生利用量 1億9,901万トン(52.5%)
減量化量 1億7,070万トン(45.1%)
最終処分量 913万トン( 2.4%)

そもそも最終処分場が不足しています

産業廃棄物に関する問題の中でも、特に深刻化しているのが【最終処分場の不足】になります。令和3年に環境省が発表した資料によると、最終処分場(埋め立て地)の寿命はあと21.4年程となり、前年度に発表された残余年数21.6年と、ほぼ横ばいの数値となりました。

【残余年数(ざんよねんすう)】とは、現在日本国内にある最終処分場が満杯になるまでの残り期間の推定値となり、埋め立てが可能な量と年間埋め立て量を比較して、毎年算出・発表されています。

「最終処分場をもっと増やせばいいのに…」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、最終処分場の新設はそう簡単にはいきません。最終処分場の新設にあたり、近隣住民の理解を得るのが難しいことや、国土の狭い日本では土地の確保が困難といった問題点があるのです。

産業廃棄物は排出した事業者自身が処理責任を全うし、適正処理に取り組む必要があり、それぞれの業種ごとに異なる産業廃棄物の処理の際の留意点を十分に理解することが重要となります。

当然、企業側だけの努力で完結はできませんので、収集・運搬・処理に携わる産業廃棄物処理業者の良し悪しも大きく関わってくるでしょう。

日々の業務で排出される廃棄物をどう扱うかは企業・業者の双方の理解がとても大切です。

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